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釣りと読書(主にミステリ)と映画のあれこれ


by xf5u

『日輪の遺産』

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 3日、映画『日輪の遺産』(監督:佐々部 清)を観た。原作は浅田次郎だが、「最近の映画界って、藤沢周平か浅田次郎、東野圭吾、たまに伊坂幸太郎かよ」みたいに斜に構えてみたところでしかたなく……やっぱり、カタいと認めるべきなのだろう。佐々部監督の力量も、『夕凪の街 桜の国』で証明済みだ。
 この作品のように悲劇的な結末がわかっているものは、前半の明るい場面も、明るいだけに、よけい「痛い」。『日輪の遺産』の場合、それを「痛い」まま終わらせないのが、やけにいろいろと続く「エピローグ的な部分」なのだろう。
 正直、中村獅童やユースケ・サンタマリアは嫌いな部類の俳優だが、今作の場合、悔しいが、ハマっていたように思う。八千草薫は、『ディア・ドクター』のラストの表情みたいな超・名演ができる方だから言うまでもないが、この映画から、「やっぱり麻生久美子は、現代の映画界からは外せない存在だ」ということもわかる。
 劇場を出てからも、「出てこい、ニミッツ、マッカーサー……」という、あの歌が、頭から離れない。西条八十が作詞というのに驚かされたが、当時の軍は、そういう人も巻き込み、歌を武器としていったのか。『超時空要塞 マクロス』とは、また別の意味で……。
 「あのタイミングで、あの人物が、コーンパイプの前に立ちはだかることができたのは何故?」みたいな疑問は残るが、なかなかの映画だと思う。ただ、ラストのシーンで、孫娘とその婚約者に「あの台詞」を言わせたのは、正解だろうか?言わさなければ、観客それぞれが、「おばあちゃんのみた幻」か「そこを守ってきたものが姿を現した」か、どちらかの解を得たろうに。ファンタシィの肯定によって、作品は『地下鉄に乗って』に近づいた気がする。
 私を迎えてくれるナイアスの表情、そしてナイアスの寝顔を見ながら、平和のありがたさを実感する。この子が安心して生きられるような世界が、ずっと続きますように。
by xf5u | 2011-09-04 01:44 | Comments(0)