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釣りと読書(主にミステリ)と映画のあれこれ


by xf5u

このうえなくあたたかいきもち

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テレビを消して本を読んでいると、投げ出した脚にナイアス=ブリュンヒルデ(パピヨン)が甘えてもたれかかる。
文庫本を持っていないほうの手で、彼の首やお腹を掻いたり撫でたりする。
ふと、外に目をやると、掃き出しの向こうの靴ぬぎ石の上で、猫のアード・ゼニヤッタが頭をもたげる。「おやつ、くれるんですか?」と問いたげな目でこちらを見る。
いつもなら後ろ脚で立ち上がり、前脚を戸口にのせるところを、そうはせずに元の体勢に戻る。仔猫たちに乳を吸わせているからだ。
このうえなくあたたかいきもちになる。
そして、ナイアス=ブリュンヒルデ(パピヨン)に「散歩に行くか?」と声をかけると、彼は目を輝かせ、尻尾を振って応じる。
ナイアス=ブリュンヒルデ(パピヨン)とともに玄関先に出ると、今度は甘えた猫の声。「パイドルか?」と声をかける。
クルマのドアを開けると、ナイアス=ブリュンヒルデ(パピヨン)は(アクセルやブレーキのある)フロアから運転席、次に助手席へと、スリー・ステップ。
一旦ドアを閉めると、それまで姿を見せなかった黒猫のアグファ・パイドルが姿を見せる。ふだんは道路を挟んだ向かいにいるはずなのに、毎度ながら、よく私を見分けて寄ってくるものだ。
ポケットから出した猫用マグロを、アグファ・パイドルにくわえさせてやる。
すると、今度は母猫(その2)ミキータ・オージェのファミリィが登場する。
アグファ・パイドルのマグロを奪おうとするから、「おまえたちは、こっち」と、猫用カツオをほぐしてやる。
母猫ミキータ・オージェの周りにたくさんのふわふわした仔猫たちがまとわりつきながら、カツオを食べる。その様はまるで、MAエルメスとビットのよう。
「待たせて悪かったな」とクルマに乗りこみ、ナイアス=ブリュンヒルデ(パピヨン)に言うと、彼はやっぱり目を輝かせ、舌をハッハッと出して喜びを表現する。
あぁ、やはり、このうえなくあたたかいきもちになる。
出張先で、防災に関する話があった。「大切なのは、何かあったらどうするかを家族とあらかじめ打ち合わせておくこと」という主張に苛立った。打ち合わせのできない犬や猫はどうするのかと。
私はやはり、犬や猫に生かされている。
蒸し暑い夜だが、このあたたかいきもちだけは、実にさわやかだ。
by xf5u | 2017-07-28 22:17 | Comments(0)